ゴー宣DOJO

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泉美木蘭
2016.12.23 19:53

安倍政権「お言葉封じ」の危険性に、もっと怒るべき!

天皇陛下、お誕生日おめでとうございます。
「多くの人々が耳を傾け、各々の立場で親身に考えてくれていることに、
深く感謝しています」
というお言葉を、私は口を結んで奥歯を噛みしめながら聞きました。

高森先生、倉持先生登場の神奈川新聞の記事、
天皇誕生日に考える「生前退位」特別立法の何が問題なのか 読みました。
なかでも、山崎雅弘氏による、
天皇陛下のお気持ちも、国民の総意も無視して、異論を封殺し、
政権の
思惑通りに
密室で決められていく《戦前回帰》の安倍政権、というご指摘、
まったくその通りだと思いました。

山崎氏によると、新聞に「一代限りの特別立法」という見出しが出たのは
有識者会議の議論がはじまる前、9月30日。
この時点で会議に参加する“有識者”のような人たちには、政権の思惑が
リークされており、その後も段階的に「政権の意向」がダメ押しのように
くり返されている、と。

これを読みながら、8月8日のお言葉発表前後の記憶をたどったのですが、
「政府が生前退位に特別法で対処検討」というニュースが一番最初に
飛び込んできたのは、
まだ8月8日のお気持ち公表前、8月7日の夕方。
大阪でのゴー宣道場修了後の控え室でのことでした。
高森先生の息子さんがメールで報せて下さった第一報で、高森先生が、
即座に「憲法違反だ!」と語気を荒められたのでよく覚えています。

翌8日お気持ち公表直後に生放送された数々の報道番組では、
いきなり男系固執派の論客たちによって
「まずは特措法で、それからゆっくり議論する二段構えが現実的でしょう」
という意見が、さももっともらしく流布されはじめていきました。
番組側には、皇室典範や憲法第2条に関する知識はまだほぼ皆無で、
「憲法第2条との整合性は?」という質問が出た番組では、
「特措法は憲法の配下に制定されるものだから、問題はない」
というような完全なる詭弁がすでに準備されていました。
なかには、番記者が
「皇室典範改正となると、かなりの時間がかかるとの声が多く聞かれる」
と報告する番組もあり、これじゃあただ政治家の怠慢に乗っかって愚痴を
発表しているだけじゃないか、なにを取材してるんだ、と頭に来たことも
よく覚えています。

天皇陛下のお気持ちが国民に伝わる前の時点から、すでに安倍政権は
「お気持ち封じ」「異論封じ」の策を練りはじめていて、そのままメディアは
まんまと情報操作に利用され、
「退位容認しない」VS「一代限りの特措法でまずは陛下にお休みいただく」
という、どちらにしても天皇陛下のご意向も世論調査の結果も完全に無視した
二項対立がぶちあげられて、史上最悪の茶番=有識者会議が行われたのです。

メディアは、権力に利用されるがままですか!?

メディアは権力のこの異論封じ、言論コントロールにもっと鋭く、もっと厳しく
立ち向かうことができなければ、その存在意義を失います。

そして国民は、みんなが敬愛する天皇陛下のお言葉をまったく無視し、
国民の総意を完全に「どうせ騙せる」とバカにし、立憲主義を破壊しようとする
安倍政権の独裁への横暴にもっと怒り、もっと抗わなければなりません。

「退位を遅らせる気か」「政争の具にするな」
これは安倍政権が使いはじめる、天皇陛下を蔑ろにし、国民を欺き、
異論を封じる目的の危険な標語、そのものです!

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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